Astor Piazzolla Sound Library

140912津留崎 直紀

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津留崎直紀:海老彰子さんとのリサイタル

華麗でロマンなピアニスムがチェロと遭遇したら 
(東京文化会館 12月14日)

(以下はチラシ裏面の文章から転載)

 2011年の連続リサイタルから3年経った。毎年1回は自らプロデュースするリサイタルを続けたいと思っている。

 今年の1月の小林道夫さんと行ったオールバッハプログラムに続いて、今回は3年前できなかったショパンのチェロソナタを中心にしたプログラムを是非取り上げたかった。バッハから一転ロマン派へと急激な変化のようだが、バッハが没した1750年からショパンが没した1849まではわずか99年である。(生まれはバッハの死後60年の1810年)わずかと書いたが最近60歳を過ぎたせいか音楽史の中での50年、100年はとても短い年月に感じるようになった。今から100年前を音楽史的に振り返ると、1913年がストラヴィンスキー「春の祭典」が初演された年だ。メンデルスゾーンやシューマン、ショパンが100年足らず前に没したバッハをどういう耳と感性で聴き、弾いていたかを想像するのは結構楽しい知的ゲームである。

 最近、スイスの音楽評論家エチエンヌ バリリエの著書「B-A-C-H」を読んだ。モーツアルト、ベートーベンから現代に至る作曲家がバッハから直接あるいは間接的に受けたインスピレーションや、B-A-C-Hがいかにして彼らの音楽の中に取り入れられているかを作品の中から考察される興味深い本である。ショパンとバッハとは僕も考えたことも無か
ったが、ショパンがバッハにいかに関心を注いでいたかがこの本を読んでよく解った。時代的にもメンデルスゾーンがマタイ受難曲をライプツィッヒで行ったころで(1829年)、これからロマン的音楽が大爆発しようとしていたその時、実はバッハが一番と言っていいくらい当時の多くの作曲家に注目されていたことに気づかされる。

 ショパンにはチェロソナタの他に、序奏と華麗なるポロネーズやマイヤーベアの主題による変奏曲など、親友でチェリストのフランコムのために書いたブラブールピースがある。特にポロネーズはピアノパートが華やかな名作で、取り上げたかったがそれだけではプログラムを上手く組めないのが悩みの種だった。

 そうして、もう一人ピアノの大名手ラフマニノフのソナタも美しい叙情性にあふれた名曲でいつか弾いてみたいと思っていたが、正直なところこのソナタはチェロの曲というよりチェロのオブリガート旋律付きピアノソナタの様相が濃く、なかなか弾く気になれなかったが、海老さんとの共演はまたとないチャンスなので大変楽しみだ。ラフマニノフには
「二つの小品」というチェロとピアノの曲がある。他にもプレリュードなどのピアノ曲はチェロ用に編曲されているし自分も或る曲の編曲を行った。当初は、ピアノ演奏史に偉大な足跡を残したこの二人の作曲家でプログラミングしようと考えていたのだが、ある日海老さんとあれこれ話しているうちに、そういえばグリーグのソナタがあったな、、、と何気なく言った一言で今回のグリーグが決まった。

 エドワード グリーグ。ノルウエーの伝統音楽に魅せられ、ノルウエーのペンタトニック旋律と独特な和声法を駆使して、西洋の機能和声法に一石を投じた彼の音楽は未だにユニークである。ショパンが永眠する6年前に生まれ、ラフマニノフが活躍し始めた1907年に没したグリーグはちょうどショパンとラフマニノフの間に時間的な架け橋となっていることに気がついた。それだけではない。地理的にもノルウエーはロシアとポーランドを北から俯瞰している位置にあるとも言える。

 今回は1810年のワルシャワからノルウエーを経て20世紀初頭のロシアへと壮大なロマンの旅になる。

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  3. 東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp

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