Astor Piazzolla Sound Library

沿革の続き

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長い沿革の続きです、お疲れさまです。

 しかし、諸資料を自分だけのものとして秘匿財産化するのはいささか後ろめたい気がしたので、ピアソラを好む感性を持つかもしれない方々にも共有していただこうと、図書館化することを決めた。

 さりとて、「リアルな図書館」にするとなると、土地購入費、建物建造費、資料購入費、司書人件費、光熱費、固定資産税、それと必要がどうかは知らないものの役所相手の許認可申請、それに伴う煩雑な人間関係での折衝などなど、館長が最も不得意とすることばかりなので、はなから眼中にはなかった。

 なので「リアルな図書館」ではなく「ヴァーチャルな図書館」ならば、すべて自己完結するし、妄想の中でアストール・ピアソラを名誉館長に任命しようが、オラシオ・フェレールやロベルト・ゴジェネチェに顧問になってもらおうが、そんなことは自由好き勝手なことなので、一気に・・・正確にいうと睡眠時間を入れても、ほぼ24時間でエントランスまで建造することができた。

 ときに、数ある創作芸術の中でも、文芸作品は目で文字を追う。音楽作品は耳で音を聴く。いずれも映像化された情報は皆無なので、感性と想像力によってのみ鑑賞できるのではないかと思っている。伝統的形式論理学の発想によれば、「感性」という言葉を聞いて共有できる「外延概念」は、所詮は曖昧なものであり、突き詰めたところに存在すべき「内包概念」にしても、結局は目に見えない世界に存在するものなので、物質的に構築することはできない。「想像力」あるいはそこに隣接する「洞察力」に至っては、人間として生きた数十年の歳月をもって、ようやく習得しうる、しかも個体差のある産物なので、これも短時日で構築できるものではない。

 目に見えるものを見て判断することが当たり前の世の中で、目に見えない領域に存在する、しかも「感覚的にしか感得しえない」要素を、どのように顕在化するのか。手法としては決して容易ではないが、古代イスラエル時代から数千年にわたって培ってきた・・・乏しいながらも多少は持ち続けている・・・知恵と経験を拠出して、「選民」の皆さんに集合していただきたい、というのが図書館設立の本旨だと、今ようやく思いついた次第だ。

 ピアソラの音楽的遺産を活用させていただき、会員になってくださった皆さんが有形無形の資産を形成される「種・seed」を、ご自身で、ご自身の人生に蒔いていただくお手伝いができれば、これに勝る達成感はないと考えている。

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